8月30日配信の「日刊SPA!」、ジャーナリスト・志葉玲氏の「ウクライナ報道にみる「朝日新聞」の迷走――現地を取材したジャーナリストが批判」という記事を、非常に興味深く読みました。
https://nikkan-spa.jp/1855549
志葉氏はウクライナでも現地取材しており、朝日記者の現地レポはいずれも敬意を持つべき優れたものだそうです。
しかし問題なのは、日本にいる識者のコメントを載せた記事だといいます。
志葉氏が具体的に挙げているのは8月12日朝刊に掲載された早稲田大学教授・豊永郁子の寄稿と、同日に朝日新聞社の言論サイト「論座」に掲載された、石川智也記者と映画監督・想田和弘の対談、そして8月17日の神戸市外国語大准教授・山本昭宏のインタビューです。
志葉氏はこのいずれも、ウクライナ国民に甚大な被害が出ているのはゼレンスキー政権の責任だという論調に終始していることを、厳しく批判しています。
そして、この「ゼレンスキーが悪い」という朝日言論人の論調、「表現者クライテリオン」7月号の特集の主張にそっくりです!!
一方、産経新聞はロシアの侵略開始から半年となる8月24日の1面記事の見出しに、堂々と「悪いのはロシアだ」と掲げました。
筆者の加納宏幸外信部長は、朝日記事などを痛烈に批判して、こう書いています。
ロシアの侵略から国土を守るウクライナ国民の半年の戦いを思うとき、開戦当初からわが国の言論空間に漂う奇妙な言説を嘆かざるを得ない。「ロシアが悪いが、徹底抗戦するウクライナにも問題がある」という論法だ。侵略者に非があると思うのなら「ロシアが悪い」と言い切ればいい。
「悪いのはロシアだが」という一言でウクライナ侵略に免罪符を与えてはならない。日本が国土、国民を蹂躙されたとして、「悪いのは周辺国だが、日本も…」と言えるだろうか。
「ウクライナも悪い」論のおかしさや冷たさはウクライナ国民の境遇をわが身に置き換えれば分かる。
100%同感です!
産経新聞の皇統男系固執記事は腹立たしい限りだし、安倍国葬大賛成記事も呆れた思いで見ていますが、この記事には胸がすく思いがしました。
ところがクライテリオンは、朝日とは「ゼレンスキーも悪い」論が同じ、産経とは「男系固執」論が同じです。
朝日と産経の、間違ったところとだけ一致しているのです!!
なぜこんなことになるのでしょう?
自分を保守だと思いたい「ただのバカ」だったら、「何でもかんでも産経が正しい!」となって、少なくともウクライナ情勢については正しいことを言ったはずです。
ところがクライテリオンは「知的ぶりたいバカ」なものだから、産経の全てに賛成ではないとか思って、その結果、産経と朝日の「悪いとこ取り」になっちゃったんでしょうねえ。
皮肉なもんです。
「ただのバカ」なら、まだマシだったのに。
【ロシベタクライテリオン論破祭り】
第1回 ウソついて逃げるクライテリオン藤井聡!
第2回 ロシアのプロパガンダを「多面的な解釈」と強弁する藤井聡!
第3回 道路交通法と国際法の区別がつかない藤井聡!
第4回 藤井聡の言う「多面的解釈の外交」とは何か?
第5回 NATOの東方拡大はアメリカの「裏切り」か!?
第6回 確かにアメリカは悪い! けど…?
第7回 ロシア経済崩壊の「主犯」は誰か?
番外編 藤井氏動画コメントに見る、クライテリオン読者・支持者の「程度」
第8回 藤井聡が依拠する、伊藤貫の「国際情勢認識」の正体
第10回 藤井聡氏に小学校の国語のテスト。